ハク。が新年一発目となるデジタルEP『Catch』をリリース!ワンマンライブのソールドアウトやSNSでのバズなど飛躍の1年となった2024年を振り返りつつ、さらなる勝負の年となる2025年に向けたメンバー全員インタビュー!
昨年2024年は、地元大阪のみならず、東京でのワンマンライブでもたびたびソールドアウトを記録し、SNSでのバズやテレビ東京『シナぷしゅ』のタイアップなどでも話題となったハク。が1月8日に全4曲入りのデジタルEP『Catch』をリリースした。
今回は貴重なメンバー全員へのインタビューを実施。
EP全収録曲の解説はもちろんのこと、昨年から今年にかけての心境の変化や曲作りの裏側まで直撃。
また、全員インタビューだからこそ明かされるメンバー同士の関係性やバンドへの思いなどにも是非注目してほしい。
――今回は貴重な全員インタビューなので、まずはラジオ的な始まりになりますが、お1人ずつ自己紹介をお願いします。パートと合わせて、バンド内での担当や役割なども教えてもらえると、それぞれのキャラも分かって良いかなと思います。よろしくお願いします。
あい ハク。のギター・ボーカルのあいです。バンド内では“壊れたロボット”担当です。
一同 (笑)。
カノ いいなぁ。そんなん言いたい。
――あいさん、ここは掘った方がいいところですか?
あい いや…、もう言葉の通りに受け取ってもらえたらと(笑)。
カノ ハク。のベース・コーラスのカノです。一応、“外交”担当です。
一同 (納得といった感じで)おー。
なずな ハク。のギターのなずなです。“おかん”担当と言われていますけど、どうなんでしょうか…?
カノ おかんだよ。
なずな おかんみたいです(笑)。
まゆ ハク。のドラムのまゆです。私は“宇宙人”担当です。
一同 (笑)。
――ありがとうございます。和やかな雰囲気でスタートできました。それぞれの理由なども深掘りしたいところではありますが…、まずは、昨年2024年のお話から。ライブやリリース、さらにはSNSのバズなど、とても濃い1年といいますか、飛躍の1年だったのではないかなと思いますので、是非、印象に残っているライブやイベントなどに触れつつ、振り返ってみてもらえますでしょうか?
あい 2024年は、本当に色々な場所でライブをした1年でした。遠征も多かったですし、月1~2回は東京でライブができたり、福岡でもライブをしたり、とても忙しい1年だったんですけど、一番印象に残っているのは、やっぱり8月9日の「ハク。の日」です。私達の自主企画イベントなんですけど、去年は、心斎橋Music Club JANUSでMONO NO AWAREの皆さんとの対バンという形で開催しました。とても刺激的で学びのある1日だったなと思っています。
カノ 私も2024年はとにかく忙しかった印象です。「ハク。の日」が終わってホッとしていたところに、すぐにテレビ東京系の幼児向け番組『シナぷしゅ』の「12月のつきうた」(というタイアップ)が決まって…。1年の締め括りの12月というタイミングで選ばれたので、もちろん刺激的ではあったんですけど、思っていたよりも(刺激が強くて)尖った感じで刺さってきて…。頑張らなくてはいかないという気持ちと同時に、(その刺激から)食らうことも多かったんですけど、それらすべてを受け止めて、最後まで走り切れた1年だったなと思います。
――2024年は、後半に向けてどんどん濃くなっていった感じだったんですね?
カノ ヤバかったですね。本当にすごかったです。
――なずなさんとまゆさんはいかがでしょうか?
なずな 2月に東京で3デイズ自主企画をやったんですけど、それが3日間ソールドアウトになって盛り上がって、そして、8月9日の「ハク。の日」を開催できたので、去年は一歩ずつステップアップできた1年だったなと思います。
まゆ 私も同じですね。2月に3日間連続でライブができたこと、そして、8月9日「ハク。の日」のあと、9月9日には東京で「ウラハク。の日」ができたこと、さらに、『シナぷしゅ』の楽曲を担当させてもらったことなど、新しいことに挑戦しながら成長できた1年だったなと思っています。
――そんな濃い2024年を通して、バンドとして変化や成長を感じた部分はありますか?
あい ライブの話で言うと、セットリストを綿密に考えて組めるようになったことが一番大きいかなと思います。あとは、ライブまでのメンバーの過ごし方なんですけど、大阪でも東京でも、別に放っておいてもライブ前の何時頃に集まって、これとこれを確認して…みたいなことが何も言わなくても通じ合えるようになりました。以前は、ライブ前に1人で過ごしている時は不安だったりもしたんですけど、今はそんなことはなくて、みんなのライブ前の行動も分かるようになってきたので、ライブ直前の自分の中での大きい安心感というものが成長した部分なのかなと思います。
――それはやはり、長く活動を続けてきたからこそ、何も言わなくてもお互いのことが分かり合えるようになった…そんな感覚なんでしょうか?
あい そうだと思います。分かり合えていることもそうですし、昨年の夏頃からライブ前のルーティンとしてラジオ体操をやるようになったんです。一緒に同じことをしてテンション感を統一できていることも安心感に繋がっていると思います。
――早速、貴重なお話をありがとうございます。では、ここからは話題を変えて…、SNSの話題にいきたいなと。昨年はSNSでも大きな反響がありましたが、そういった反響や反応を皆さん自身はどう受け止めていたのか?そのあたりも是非聞かせてください。
あい MONO NO AWAREのカバーのスタジオ映像で、最初にいわゆるバズが起きた時には、本当に“え!?(数字が)伸びてる伸びてる伸びてる…”みたいな感じでびっくりはしたんですけど、自分はあまり気にしないようにしていました。数字が伸びたことはすごく嬉しいことでしたし、そこからハク。の楽曲にも繋がったのはとてもありがたいことだと思って受け止めていたんですけど、だからこそ、調子に乗りたくないというか…。やっぱり、色んな人に知ってもらうとその数だけ「私は好き」とか「私はあんまり…」みたいな意見も見られるようになってしまうので、私の中では、それに振り回されないようにしようという思いがありました。
なずな 私は素直に嬉しかったです。スタジオ映像のカバー動画でバズったんですけど、もともと、私達はスタジオでの自分達の曲の演奏動画をSNSに上げていたので、新しくトライしたことではなく、いつも通りのことをやっていただけなので…。
カノ 別に“バズれ!”と思って狙ったわけじゃないからね。
なずな だから、余計にバズった時はびっくりしました。
まゆ 私は、こんなにもたくさんの方に見てもらえるとは思わなかったので、フォロワーの数が増える度に、正直怖いなという思いもありました。
――それもとても正直な感想だと思います。カノさん、あいさんはどうでしたか?
カノ 私ももちろんびっくりしましたし、伸びている実感を味わいながら、でも、伸びた後にファンの方やリスナーの方じゃなくて、まわりの色んな方達から「バリ伸びてるやん!」とか言われて、でも、そっちはそっちでいい意見とそうじゃない意見もあって…。内側から色々言われることの方が怖かったりもしましたね。ただバズっているという感じで見られているだけじゃダメだし、じゃあ、次は何をしたらいいんだろう?とメンバー内やチーム内でも話し合いました。逆に、次に向けて考えたり悩んだりするいい機会になったのかなとも思っています。
あい 名前だけが世の中に出て行ってもダメだということになって、スタジオでもみんなで話し合ったりしました。カノが率先して話をまとめてくれたので、その時に、私達は今何をすべきなのか?優先順位を付けてまとめられたのかなと思っています。
――ここまでは飛躍の2024年を振り返ってきましたが、2025年に入って、早速、新しいEPがリリースされました。1月8日リリースということで、新年明けてすぐのこのタイミングで作品を世に出せるというのは、とても良いスタートダッシュになったのかなと思いますが、そのあたりはいかがでしょうか?
あい 最初に1月8日リリースと聞いた時は、特に意識していなかったんですけど、“あれ?新年明けてすぐだぞ”と思って…。みんなが新しい気持ちになっている時期に、新しい作品を出せるということは、景色的にも清々しい感じがしますし、嬉しいことだなと後からじわじわ感じるようになりました。
カノ 今回はラジオのパワープレイが決まったりもしていて、色々な人の力を借りながらですけど、自分達が積み重ねてきたことがようやく認められてきたというか、今までやってきたことが形になってきていると思うので、この晴れやかな気持ちのまま2025年を駆け抜けていきたいなと思っています。
まゆ ファーストアルバムの『僕らじゃなきゃダメになって』の楽曲とはまたガラッと変わって、歌はもちろんどっちもいいんですけど、今回のEPは特にかっこいい楽曲が揃っているので、新年にこの4曲を出せたことで、勝負の1年になるなと感じています。
なずな 新年一発目、1月8日というタイミングでEPを出せたので、このEPが土台となって、新たな気持ちで勢いよく2025年を駆け抜けていけるんじゃないかなと思っています。
――ありがとうございます。では、ここからは、そのデジタルEP『Catch』について深掘りしていきたいと思います。今回は既に配信されている曲も含めた4曲入りEPという形になっていますが、まず、タイトルの『Catch』はどのような思いで付けられたのでしょうか?
あい 実は、収録曲の4曲は作った時期がバラバラで、曲を作っていた季節も違いますし、タイアップをいただいてから作った曲もありますし、曲作りの状況が全然違うんですけど、振り返ってみると、その時の季節感や自分の感情や状況を“掴んだ”楽曲ばかりだなと思ったので、『Catch』というタイトルにしました。
――なるほど。2025年、ここからさらに色んなものを掴んでいくという意味でもとても良いタイトルだなと感じました。では、収録曲について1曲ずつ聞いていきたいのですが、まずは、ハク。の曲作りのスタイルも気になるので、そのあたりから聞かせてください。基本的には、あいさんがお1人でデモを作るところから始まるのでしょうか?
あい そうですね。めちゃめちゃ簡単なデモもあれば、作り込む時もあります。そこから、プロデューサーの河野圭さんとのデータのやり取りを経て、メンバーみんなの手に渡る…といった感じでしょうか。
――いわゆる詞先、曲先という部分ではどうなのでしょう?例えば、今回の1曲目の「奥二重で見る」については。
あい それも本当に曲によって…といった感じなんですけど、今回のリード曲「奥二重で見る」については、最初にサビができあがったんです。音のハマり具合、語呂の良さとかもあって、歌っている時に歌詞も一緒に思いつきました。で、歌ってみたら、“結局これ自分のことやん!”みたいなサビができたので、でも、それも斬新でいいかなと思って、あとからAメロBメロを作っていったという流れでした。
――サビができた時に、この曲はもう自分の歌だと感じたのですか?
あい 「奥二重 ソバカス 鷲鼻」というサビの歌詞があるんですけど、最初に「奥二重」という言葉が出てきて、そのあとに「ソバカス」って歌ってみたら、めちゃめちゃハマったので、そこまで来たらもう自分の顔のパーツで行こうと思って、「鷲鼻」と続けて歌ってみたらとてもいい感じになりました。でも、何でいいんだろう?と考えた時に、やっぱりアーティストは常に人に見られる職業で、もちろん顔がすべてじゃないんですけど、でも、SNSでは誰かの(顔の)ことを書かれていたりするのがすごく嫌だったので…。私は自分のことをしっかり肯定しようと思って、自分の顔のパーツをサビに入れて、これは私が今歌うべき歌なんだと思って作りました。
――ちなみに、歌詞の裏に込めた思いと言いますか、曲の背景なども含めて、メンバーの皆さんには伝えるものなのでしょうか?
あい 全部を伝えるわけではないですけど、聞かれたら答えますし、みんなも演奏する上で“この歌詞の部分はどういう感じでやったらいい?”みたいなことを聞いてきてくれるので、その時には歌詞解説をしつこいくらいにします(笑)。
――カノさん、そのあたりはいかがでしょうか?
カノ 私はもう最初の頃から、それ(歌詞解説)がないとできないと思ってやっています。やっぱり、あいちゃんのメロディーも好きですけど、私は歌詞が特に大好きなので。誰がこんな言葉を思いつくんだみたいな歌詞とか、物事に対して自分からは出てこないような別角度からの目線で見ている歌詞とか、それってあいちゃんの魅力だと思うんですよね。あいちゃんが歌詞に込めた思いや意味合いを知ることで、ベースの弾き方も変わってくると思っています。曲の流れの中で、もっと盛大な感じの方がいいのか、もう少し緻密さを感じらせるような弾き方がいいのかとか。あいちゃんは聞いたらしつこいくらいに答えてくれるんですけど、私も逆にしつこいくらいに聞いています(笑)。曲を作る人って、その人にしか分からない恥ずかしさとか、その人だけが秘めておきたい思いがあるんだと思うんですけど、私は秘めてないで教えてって思っているし、そこがハク。にとっての大事な部分だとも思っています。あいちゃんから出てきた歌詞やメロディーだけじゃなく、あいちゃんの中にあるものが、4人で音を鳴らす時に大事なんだという思いが年々増してきています。
――貴重なお話ありがとうございます。あいさん、曲作りのさらに細かい部分になってしまうのですが、歌詞に関しては常にメモを取ったり、ストックをして温めていたりするものなのですか?それとも、曲を作ろうと思った時に、そこから初めて生まれてくるものなんでしょうか?
あい 最近は両方ありますね。以前は、曲を作るにあたって、歌詞も同時に出てくることが多かったんですけど、最近は“1人LINEグループ”というものがあって、思ったことや見た景色を自分の言葉に昇華してから、その“1人LINEグループ”に投げてメモするということをやっています。普通にメモの中からそのまま使うこともありますし、ちょっとずつ取り出して歌詞に使うということも増えてきました。
――また、ハク。の楽曲は、ギターのフレーズも特徴的だと思うのですが、そこはデモの段階からあいさんの中でイメージができあがっていたりするのですか?
あい 曲のポイントポイントでは、こういうギターのフレーズが欲しいなというイメージがある時もありますし、プロデューサーの河野さんとプリプロでスタジオに入った時に生まれてくることもあります。デモの段階でアレンジのイメージ含め、全部が出来上がっていることはほぼなくて、メンバーでスタジオに入った時やプリプロの段階で最終的に決まっていくことの方が多いですね。
――色々と興味深いです。先ほど、歌詞のストックについてはお聞きしましたが、メロディーの方はいかがでしょうか?
あい DTMのソフトで作り上げているものはあまりなくて、弾き語りをスマホのボイスメモで録音したものはたくさんあります。それらを1曲1曲、形にしなきゃいけないなと思うんですけど、やっぱり忘れられないメロディーを持つ曲がいいなと常に思っているので、メロディーラインが強いデモというか、その原型から作り上げていくことが多い気がします。
――さらに、突っ込んでお聞きしますが、たくさんあるストックの中から、世の中に出すべきだというタイミングは、あいさんご自身の中でピンとくるものなのでしょうか?
あい そうですね。メロディーだけのものだったらあまり考えないというか、いつリリースした方がいいみたいなことは正直あまりピンときていないんですけど、歌詞までできている曲だと、これはすぐに出したいとか、温めておいてもう少し先に出した方がいいかなとか考えることはあります。
――ありがとうございます。ハク。の曲がどのように出来上がっているのか、とても興味があったので、貴重なお話が聞けて良かったです。では、収録曲についてのお話を進めていきましょう。2曲目の「dedede」について。この曲はライブで流れを変えてくれそうな1曲だなと感じました。なずなさん、まゆさんはいかがでしょうか?
なずな ライブではフロアの雰囲気がそれまでとはガラッと変わって、さらに盛り上がりが増していくような1曲だと思います。ギターのポイントとしては、「流れるスネアの音が 流れるシンセの音が」という歌詞の後ろで鳴っているジュワーって感じの不思議な音色が好きです。(歌詞にある)ドラムでもシンセでもなく、特徴的なギターが後ろで鳴っているところがいいなと思っています。
まゆ この曲はドラムが本当にすごいんですよね。私は筋トレだと思って叩いています(笑)。一定の同じフレーズをずっと叩いているみたいな感覚です。でも、その上でリードギターとベースがもうブリッブリに弾いてくれているので、めちゃくちゃかっこいい1曲です。歌詞も大好きです。
――ギターとドラムのお話も出たので、カノさん、ベースのポイントも是非。
カノ 正直、完成したデモを聴いた時には“やりたくねー”と思いました(笑)。本当に苦手な要素ばっかりなんですよね。速いし、裏だし、オクターブだし…、私が苦手なことすべてが詰まっていたので、本当にライブでもやるの?と思ったんですけど、演奏していくうちに、ライブパフォーマンス次第でこの曲はもっとライブ映えするなと気付き始めてからは、ライブでいかに魅せるか、聴かせるかということを考え始めるようになりました。この曲はコーラスがサビの部分だけなので、他の部分では自由に暴れてやろうと思って、鋭い目線など見せ方の部分を考えることが多くなったなと思います。最近では、まゆが筋トレみたいにドラムを叩いている姿もかっこよく見えてきましたし、あとは、あいちゃんも自由な感じでパフォーマンスできるようになってきたと思っていて、そんなメンバー達を見て感動しながら、私はひたすら苦手なことをやっている…、そんな曲です(笑)。
一同 (笑)。
――まさにライブで育っていく曲といった感じなんですね。あいさんはこの「dedede」についてはいかがですか?
あい この曲は、心の強さがそのまま出る曲だなと思っています。ちょっと揺れている時は、Aメロに入った瞬間に、“あ、今日の自分弱ってる…”と気付くんですよね。だから、気付いた瞬間に立ち直せるように、というトレーニングだなと私も思っています。でも、最近はそれができるようになってきたと思っているので、今のハク。にとっては、メンバーのみんなが強さを得るためにこういう曲が必要だったのかなと思っています。
――皆さんのエピソードから、バンドが強くなるために必要な曲だということが、とてもよく伝わってきました。続いて、3曲目の「頭の中の宇宙」。またちょっと変わった世界観だなという印象を受けましたが、あいさん、この曲はどのようなイメージで作ったのでしょうか?
あい この曲でも結構自分のことを歌っています。本当はもっと人と話したいと思っているのに、うまく話せないことがあったり、嚙み合わない瞬間があったりしたので…。自分の頭の中に、文字がめちゃめちゃ流れていっているような感覚や場面が今でもあるので、それを曲にしなきゃと思って作った曲です。歌詞も分かりやすいような場面と少し考えて読み取ってもらわないと分からない場面があると思うんですけど、聴いた人がのめり込めるような曲にしたいと思って、自分の言葉を強く入れてみました。
――続いて、4曲目の「あいっ!」。この楽曲は他の楽曲とはまったく違ったアプローチで作られたのでしょうか?
あい 最後のラスサビ前の盛り上がりとかは、スタジオに入ってから仕上げましたけど、この曲はもうデモのまま作り上げていった曲ですね。お子さんと一緒に大人の方も見ている番組ということだったので、遊びの要素も入れたいなということになり、いつものハク。の曲には入れないシロフォンとか手拍子とかを入れてみたり、自分の口で楽器っぽく歌ってみたり、デモの段階から遊んだ感じで作りました。
――完全にゼロの状態から作り上げた曲なのですか?
あい そうです。頑張ったのはもちろん当たり前に頑張ったんですけど、苦しいとか大変とかそういう感覚は全然なかったです。多分、自分の心のタイミングも良かったのかもしれないですけど、自分の中から出てきたものをちゃんと形にできたのかなと思っています。
――「あいっ!」については、是非、皆さんが最初にデモを聴いた時の印象や曲への思いも聞かせてください。
まゆ この曲は…(少しためてから)、本当に一番好きな曲なんですよ。
一同 (笑)。
まゆ 完成する前からもちろんいい曲だと思っていたんですけど、完成した音源を聴いた時に、こんなにも心にグッとくる曲だったのかと思って…。本当に心に沁みます。
なずな 私は最初に聴いた時は、朝に流れてそう…って思いました。それが一発目の感想です。
一同 (笑)。
なずな あと、歌詞が幼児向け番組の曲だけど、私達世代やその親世代、さらに上の世代の方にも響く歌詞だなと思って、そこがこの曲の最大の魅力だなと思います。
カノ 最初に聴いた時にグッときたのはもちろんそうなんですけど、普通の曲じゃないなというか…。歌詞も“色んな人がいていいんだよ”感が強くて、本当に泣ける曲だと思うくらい素敵な曲です。放送された時は、家で母と見ていたんですけど、“あれ?お母さん泣いてない?”みたいな…。本当にどの世代にも刺さる曲だと思います。私は昨年、姪が生まれたんですけど、私達4人はまだ近くに赤ちゃんがいるという環境ではなかったので、未知の世界だったんですけど、姪を見ながらこの曲を聴いたら、余計にお母さんお父さんの気持ちを勝手に理解した気分になってしまって…。それプラス、自分ももっと強く生きていかなくちゃいけないなと、あいちゃんが思っていなかった部分まで私にはグッときてしまいました。最初に聴いた時から、3人全員をひっくるめていいか分からないですけど、みんなが同じくらいにグッときて、いい曲だと感じた曲です。
――皆さんの曲への思いがとてもよく伝わってきました。そして、EPのリリースツアーも控えていますが、あいさん、どんなツアーにしたいですか?
あい ハク。の曲には色々な曲調があるので、どうハク。らしく、自分達らしくライブを見せるかというのが、今回のツアーだけじゃなく、これからの目標だなと思っています。バンドをやるからには、やっぱり唯一無二のバンドにしたいと思っているので、今回のツアーでもそれぞれの曲の良さを生かしたライブができたらいいなと思っています。
――改めて、EP『Catch』のリリースから始まる2025年は、ハク。にとってさらなる飛躍の1年になると感じていますが、バンドのこれまでの歴史を振り返った時に、ここが大きなターニングポイントだったなと思うタイミングがメンバーそれぞれにあるものでしょうか?挫折のようなネガなものも含めて、いかがですか?
カノ 私にとって一番大きかったタイミングは、2023年のフルアルバムの制作期間です。それこそ、そこに辿り着くまでにネガティブなこともポジティブなこともたくさんあって、自分達も切羽詰まっていたというか、喧嘩と言ったらあれですけど、自分の意見をはっきり言い合えるというか、伝え合うことが増えたタイミングだったのかなと思います。でも、この期間があったからこそ、メンバー1人1人の意識も変わったし、かつ、それぞれがバンドについて考える力と考える時間が増えたタイミングだったので、フルアルバムがリリースされたことよりも、そこに辿り着くまでの制作期間の方がターニングポイントだったのかなと思っています。
まゆ 私もそのフルアルバムが大きなポイントだったと思っています。アルバムを作るまでも大変でしたけど、アルバムをリリースして、いざライブでドラムを叩くってなった時に、まだまだドラムに対して何もできてないなというか、もっと勉強しないといけないと思うことがたくさんあったので、そこからが一番成長できたタイミングだったのかなと思います。
なずな 確かにアルバムもそうですけど、私個人的には、昨年2月の3デイズ企画をやった時に、自分の中で何かが変わったというか、何かに気付いたというか…、そんな気がしたんですよね。そこから一気に変わったわけじゃなくて、去年1年かけて変わっていったと思っていて、その自分の中の気持ちが変わるきっかけが、2月の3デイズ企画だったなと思うので、そこがターニングポイントかなと思います。
――そんな皆さんのお話も踏まえて、あいさんはいかがでしょうか?
あい 私はもう「ハク。の日」ですね。毎年この日はハッとさせられる1日です。好きなバンドを呼んで対バンしているんですけど、普通にそのバンドのライブを観に行った時よりも食らうというか…、それまでの経験値が違うのかもしれないですけど、対バン相手の皆さんそれぞれが自分を持っていてすごいなと思うのが、「ハク。の日」なので、毎回そこでもっと頑張ろうと思えますし、再確認できています。
――そう思えるポイントが毎年あるというのは良いことなのかもしれないですね。ある意味、毎年気持ちをリセットできて、かつ、そこからまた次の目標に向かって頑張れるという感じでしょうか。では、最後の質問になるのですが、EPがリリースされて、リリースツアーがあって…そこからさらに2025年をどんな1年にしていきたいか?それぞれの言葉で聞かせていただきたいので、順番にお願いします。
カノ 何色にでも染まれるというのが、今までのハク。の唯一無二のところだったんですけど、それだけじゃダメだよねというのが2024年後半からの課題でした。2025年は、その何色にでも染まれるというところに頼り切るのではなく、やりたいことをもっと自由に、でも、ハク。のスタイルは絶対曲げずに進んでいきたいです。私もメンバーも、あいちゃんには絶対的な信頼を寄せていて、あいちゃんが作る曲に絶対的な自信を持っています。でも、そんなあいちゃん1人に頼りきっていたらダメだなと思って…。2024年、1人1人が成長してきた部分が大きかったので、これからはメンバー全員があいちゃんと同じ高さに立って、バンドとしてさらに強くならなくてはいけないなと思っています。もちろん、私自身ももっと強くならないといけないので、自分で自分を奮い立たせていこうというのが2025年の目標です。
なずな カノが言った通り、自分達のブレない心がすごく大事だなということは、いつもみんなで話しています。私の個人的な目標は、ギタリストとしてもっと磨かないといけないところもたくさんあると思っていて、そこは私自身が戦うところなので頑張りたいです。あとは、野外フェスにもたくさん出たいです。
一同 (大きく頷いて)うん。
まゆ 2025年は、ハク。にとって勝負の年だと思っているので、ハク。の色というものをもっと色濃く作っていって、バンドとして強くなって前進していきたいなと思っています。ドラマーとしては、まだ自信がないというわけではないですけど、胸を張って“私がハク。のドラマーです!”と言えるくらいになれるように頑張ります。
――皆さん、熱いメッセージをありがとうございます。では、最後はあいさん、お願いします。
あい この4人でもっともっと色々な景色を見られるような2025年にしたいと思っています。個人的には、みんなが“あいの歌詞がいい”とたくさん言ってくれているんですけど、まだまだ全然自信がない時もあって、今まではそれも自分の要素だから別にいいやと思っていたんですけど、その自信の無さが歌に出てしまったり、感情が歌に乗ったりするものなんだなと昨年気付いたので、自分が強くなるためには自信を付けていくことも大切だなと思うので、まだまだ成長していきたいと思っています。
――今回は全員インタビューということで、それぞれの思いが聞けて良かったです。メンバーの皆さんがあいさんを絶対的に信頼しているからこそ、そして、これまで一緒に活動を続けてきたからこそ、多くを語らずとも意思疎通ができていて、バンドの大事な部分を共有できているのかなと感じました。2025年のさらなる活躍、期待しています。ありがとうございました。
一同 ありがとうございました。
ライター ATSUSHI OINUMA