Tracklist
1. Kids Return
2. Eazy Breezy
3. XL Remix feat. ISSUGI
4. Let It Be
5. Special Radio
6. No Sun
7. Cherry pie
8. scuse my state feat. 折坂悠太
9. AOS
10. Salve
11. Cats & Dogs
12. Coincidence
13. USD feat. NENE
14. Arcades feat. NENE
15. rose
16. SAYSUM
17. LOVE
18. Beautiful Mind
19. that place is burning feat. ハナレグミ
20. incident
21. youth
22. back for me feat. YONCE
23. Freed Up feat. 仙人掌
24. Rondo
25. hikari
26. Retarded
Vinyl
2026.11.04 On Sale
DDJB-91274 / 6,060yen (Tax in)
Format : 2LP (Gatefold Jacket)
※限定生産になります。
Tracklist
Side A
1. Dedicated To The One I Love
2. Kids Return
3. Eazy Breezy
4. XL Remix feat. ISSUGI
5. Let It Be
6. Special Radio
7. No Sun
Side B
1. Cherry pie
2. scuse my state feat. 折坂悠太
3. AOS
4. Salve
5. Cats & Dogs
6. Coincidence
Side C
1. USD feat. NENE
2. Arcades feat. NENE
3. rose
4. SAYSUM
5. LOVE
6. Beautiful Mind
7. that place is burning feat. ハナレグミ
Side D
1. incident
2. youth
3. back for me feat. YONCE
4. Freed Up feat. 仙人掌
5. Rondo
6. hikari
7. Retarded
2018年1月に代官山UNITで行ったバンド形態での初ライブを皮切りに、2021年、2024年のFUJI ROCK FESTIVALをはじめとする音楽フェス出演や単独ツアーを重ねながら、会場規模を着実に拡大してきた彼は、2018年に『ài qíng』、2021年に『20,Stop it.』というアルバム2作をリリース。発表当初は、ヒップホップのトレンドから切り離された孤高の作品とも捉えられがちであったが、多様化が進む近年のヒップホップシーンにおいて、後進アーティストにとってのマイルストーンとなり、その響きは近年の音楽潮流にも違和感なく溶け込んでいるように感じられる。言い方を変えるなら、その先進性が広く浸透するまでに何年もの歳月が必要だったのだろう。満員のオーディエンスがひたむきな眼差しで注視する今回のステージは、KID FRESINOが更新し続けてきた最高到達点を象徴するものだ。
そして、Fla$hBackS第4のメンバーとも評されるデザイナーのKazuhiko FujitaがバックDJとしてブースに立つと、ステージ登場曲としてプレイしたのは米国フォークロックグループ、ママス&パパスの「Dedicated To The One I Love」。大切な人に捧げる祈りと遠く離れていても変わらない絆を歌ったこの曲は、急逝した2人の大切な仲間、FebbとJJJへの思いを託したもの。登場したKID FRESINOは曲が終わるのを待って、そのJJJが残した「Kids Return」の渾身のカバーからライブの口火を切った。驚きと熱狂が渦巻くなか、続いたのは正式リリースされていない代表曲の一つ「Eazy Breezy」。所属していたFla$hBackSを離れ、ソロ活動の決意を込めたリリックに改めて向かい合うと、客演で登場したISSUGIが自身の楽曲「XL」を披露した。KID FRESINOはこの日のために新たに書いたリリックでISSUGIのラップに呼応。以前と変わらずDogear Recordsに所属しながら、音楽性の大きな変化が象徴する彼にとってのヒップホップのリアルを熱く激しくスピットすると、客演を迎えず、自身のパートのみラップした2曲、Daichi Yamamotoとの2ステップ・アンセム「Let It Be」、IOとのエレクトロファンク「Special Radio」が続いた。後者の楽曲ではドラマーの石若駿がトラックに生演奏を重ね、そのパートを呼び水に不動のバンドメンバーたちが登場。そのままDJセクションからバンドセクションへとスムーズに移行した。
三浦淳悟(Ba)、佐藤優介(Key)、斎藤拓郎(Gt)、石若駿(Dr)、小林うてな(Steel Pan, MainStage)、西田修大(Gt)という日本屈指のプレイヤーが集結したKID FRESINOバンドは、長年に渡って練り上げられたアンサンブルが物語る通り、バックバンドの域を超えた有機的な音楽磁場を形成している。「ワン、ツー、スリー、フォー」というドラムのカウントからぐんぐん高度を上げる「No Sun」を皮切りに、ラテンリズムを刻むクールなアレンジを初披露した「Cherry Pie」からトランシーなギターとドラムンベースのリズムパターンが絡み合う「scuse my state」に雪崩れ込むと客演で登場した折坂悠太がジャパン・ブルースの息吹きを注入。続く「AOS」はジョイ・オービソンやオーバーモノのガレージトラックに共鳴したタイトなグルーヴをたたみ掛けるようなラップと生演奏で具現化した画期的な1曲だ。ここからスリリングな流れを一端切って、肩の力を抜いた「Salve」、カネコアヤノのパートを会場の大合唱が担った「Cats & Dogs」を挟み、ラップと演奏が生み出す複数の変拍子が織りなす代表曲「Coincidence」へ。
彼らの美しい魂を浄化するように、再度のバンド形態で演奏されたのは「that place is burning」。客演で登場したハナレグミのスウィートでピースフルな歌声とオーディエンスの大合唱、そして、スピードを上げて加速するラップの疾走感が一体となり、得も言われぬ高揚感が生み出された。そして、ソロ・ヴァージョンの「Incident」、「youth」を挟み、レゲエのグルーヴを織り込んだ最新曲「back for me」で大歓声に迎えられたのは客演のYONCE。2014年に渋谷のライブハウスでFebbと同じステージに立ったSuchmos、そのボーカリストがKID FRESINOと時を経て感情を共鳴させることになるとはどんな巡り合わせなのだろうか。続く、「Freed Up」ではDJ SCRATCH NICEのビートをバンドでリアレンジし、そこに客演の仙人掌をフィーチャー。2人のラップが人生の予期せぬ出来事からもたらされた耐えがたい痛みや苦悩を乗り越えようと日々をタフに生きる躍動感を伝えると、「Rondo」からJJJの死に直面した自身の心境をありのままに投影した「hikari」へ。頭上から差した2本のスポットライト、その一本が際立たせる不在は光そのものでもあり、コラージュされたリリックと相まって、様々な記憶や思いの乱反射がどこまでも悲しくも例えようもなく美しいと感じられた。そして、ライブを締め括ったのは自身の空虚さを歌った「Retarded」。死は尊いものであるからこそ、死に値する生をどう高めていくか。ネガティブではあっても、そう考えればバッドではない。この曲について、アルバム『ài qíng』のインタビューでそう語っていたが、『20,Stop it.』の『20』からカウントを1つ重ねた今回のライブタイトル『21』が指し示す通り、その音楽世界がここに来て、さらに高まりつつある、そんな手応を感じさせる最高の一夜だった。