LINDY
発売日
2019.07.03
レーベル
AINOU
規格
DIGITAL

昨年11 月リリースのアルバム『AINOU』は、一躍、彼女の名を音楽界に知らしめたアルバムだった。約2 年半に渡り、合宿生活を基本にして作り込んだこだわりのトラック。ASIAN KUNG-FU GENERATION の後藤正文が設立した音楽の新人賞「APPLE VINEGARMusic Award 2019」大賞を受賞したり、中村自身も「関ジャム 完全 燃SHOW」、「バズリズム02」などのテレビ番組で大きく取り上げられた。
2 枚目のジンクスではないが、次作は彼女にとっても聴き手にとってもハードルが高くなると勝手に思い込んでいた。そして、8 ヶ月ぶりの音源となる配信限定シングル『Lindy』。普通だと8 ヶ月は充分な期間だが、あの濃厚でぶっ飛んだ『AINOU』の後では短すぎる期間のようにも感じた。が、そんな考えは一聴した瞬間にかき消される。
ギターと三味線の中間のような音を奏でる自作楽器であるエレキ六線の穏やかなリフから始まり、そこに「ハッとして ピンときたんだ Lindy」という中村のつんざきが入る。否が応でも、それこそ本当にハッとしてしまう。わずか20 秒弱で、前作から次の世界へと鮮やかに飛んでいる事にピンときてしまう。それも今作は前作と異なり、打楽器や弦楽器が中心。だからこそのなのか、ダンサンブルでグルーヴィーな感じ、そして、中村特有の即興感が、よりストレートに届けられる。トリフォンによって神秘的なガムランを思わせる心地良い音が鳴らされ、一気にトリップ感覚に導かれるのも最高に気持ち良い。全体的にシンプルな音作りのみで攻めていく姿勢。完全に強度が増している。
演奏メンバーは、お馴染みの荒木正比比呂(Key)、深谷雄一(Dr) というレミ街のふたりに、中村が共作を望んでいた馬喰町バンドの武徹太郎(Gt, エレキ六線、トリフォン) と織田 洋介( コントラバス)。2 分40 秒あたりで、男性陣による儀式の掛け声を彷彿とさせる合唱に、中村の声を震わせて響かせる歌声が絡みついていく。たまらなく高揚してしまうシーン。ここで歌われる言葉は、「全部あげる わたしのものは」。聴き手に対して意識的になっている事も真っ直ぐ伝わってくる。

TRACK LIST

DISC1

01
LINDY