国府達矢
2019.09.18
video

国府達矢、2枚同時リリースとなるニューアルバム「スラップスティックメロディ」、「音の門」より”青の世界”と”日捨て”の先行配信が開始!”青の世界”のMVも公開!!折坂悠太、川谷絵音、やついいちろうからのコメントも到着。

国府達矢15年ぶりのオリジナル・アルバム 「ロックブッダ」で完全復活を遂げた、伝説のシンガーソングライター”国府達矢”。
ニューアルバム「スラップスティックメロディ」、「音の門」、2作同時リリースに先駆け両アルバムの冒頭を飾る”青の世界”と”日捨て”の先行配信が開始となった。

また”青の世界”のミュージックビデオも本日公開された。
向井太一、Tempalay、MONO NO AWAREなどのMVも手掛ける黒柳勝喜が監督。
人間の身体の柔軟性に極限まで挑戦し、モンゴルでは”曲がる芸術”と称されるコントーションパフォーマーMARIKAが出演している。
我々の想像を超えた肉体表現の美しさ、そして幻想的な光と影に緊張の糸が張り詰める。

また折坂悠太、川谷絵音、やついいちろうからもコメントが到着。
すでにコメントを寄せていた七尾旅人、いとうせいこう、磯部涼の言葉と共にアルバムへの期待が膨らむ。


【配信詳細】

国府達矢『青の世界』
https://ssm.lnk.to/aonosekai

国府達矢『日捨て』
https://ssm.lnk.to/hisute

2019.09.17 release
felicity
※各配信サイトにて配信中※


◆国府達矢 “青の世界” (Official Music Video)
https://youtu.be/-eKZvE3fqfE


【コメント】

初めて4トラックのMTRを手に入れた時、曲ができるたび、聴きながら町中歩き回った。「完璧な爆弾」を抱えているようだった。ここにスゴイ人がありますよと、道ゆく人に叫びたかった。国府さん、二作品リリース、おめでとうございます。あの日の爆弾を、どうやってずっと、持っていたのですか。

折坂悠太


国府達矢さんの音楽との出会いは七尾旅人さんの発言からでした。旅人さんがそこまで言うアーティストはどんな人なんだろう。そんなことを思いながら前作「ロックブッダ」を聴いた僕は国府さんの歌の力に圧倒された。彼には何が見えてるんだろう、何が見えたらこんなに歌に立体的な歪さが生まれるんだろうと。インタビューを読み漁り知ろうとした。そんな時にライブハウスでたまたま国府さんにお会いした。すごく優しい空気を纏った人だった。ああ、こんな人なんだ。こんなに柔らかい人なんだ。この人のことをより知りたくなったけど、深く知らない方が良いのか?なんてよくわからないことを思いながら新作「スラップスティックメロディ」と「音の門」を聴いた。ああ、これはちょっと追いかけてしまうぞ、危ない、と思った。国府達矢の音楽が自分を支配しそうで、リスナーとしてもクリエイターとしても追ってしまうんじゃないか?っていう言葉が僕の脳内に一斉に波となって広がった。感想が書けないくらい僕は久々に困惑した。でもその困惑を時折突き刺す国府さんのギターが気持ち良くて溺れそうになるし、シンプルな言葉にハッとしたりする。そうだ、僕は今凄い体験をしている。まだ噛み砕けていない。噛み砕けそうにない。そんな作品滅多にない。だから興奮している。何故かノンアルコールビールを飲んでいるくらいだ。

川谷絵音


前作のイメージで聴いたら全く違っていた。どこか遠くにあるもの求めるような音楽から、いやすでに全て持っているじゃないかという音楽へ。そんな風に聴こえる。悩みを燃やし尽くしたら、そこに優しい花が咲き始めた。綺麗だった。何回も聴きたい。

やついいちろう


90年代の末、お互いデビュー前の若手ミュージシャンとして出会って以来、純真で優しく、音楽に全てをなげうつ男、国府達矢は、僕にとってまるで実の兄のように大切な存在だった。
そして同時に、最も困った存在でもあった。
2000年代初頭、メジャーを飛び出して作り上げた、早すぎた傑作「ロック転生」から、昨年になってようやくリリースされた「ロックブッダ」まで、15年も待たされようとは夢にも思わなかった。
15年間はおよそ5478日。その1日1日に、いろいろなことが起きたはずだ。何もしていなかったわけじゃない。でも一人のミュージシャンにとっては、気の遠くなるような年月だ。音楽の世界で欲望されること、消費の対象は、目まぐるしく移り変わっていく。この社会の、時代の表層的な欲動に国府達矢は背を向けて、5478日のあいだ、深層へ、深層へと、掘り進めていった。

彼にもういちど表舞台で音楽をやってもらうためなら、なんでもしたいと思っていた。しかし何をしても、一抹の不安が残った。その不安が晴れたのは今作「スラップスティックメロディ」のデモ音源を聴いた時。

国府さんは昔からいつでも現実より理想が先立ってしまう人だった。とても深い場所や、高みが見えているのに、肝心の足元が見えなくなる。本人いたって生真面目なのだが、現実の階段を踏みしめる前に、理想を高く高く掲げてしまう。もちろんそういう気質は必要だ。音楽で果てしない夢を見ようと思えば。
しかし、理想のためならこの男、人生まるごと潰してしまうのではないか。理想に喰い殺されかけていないか。そんな不安が拭えなかったし、実際に彼の生活は、いったんほとんど潰れてしまった。凍てついた暗やみの世界に彼は居た。

そのどん底で作られた「スラップスティックメロディ」が、これほど豊かで、広く、強い作品ならば、国府達矢は、これから何度でも立ち上がってくるだろう。そう思えた。
僕の知るそれまでの国府作品とは全く異質なアルバムだった。理想や思想、目指されるべきゴール。冷えた現実の前で、そうしたものの全てを粉々に砕かれて、空っぽのまま、ただ国府達矢として、立っているだけ。歌っているだけ。その姿のなんと美しく、輝かしいことか。ここにあるひとつひとつのメロディ、ハーモニー、言葉、音色、そのどれもが奇跡に思える。

国府さん、あなたは人間的にも音楽家としてもすごいやつだ。これを聴いていったいどれほどの人々が勇気を持つだろう。でもあなたに付き合っていくのはけっこう大変です。それでもあなたの音楽は、僕を一度も裏切らなかった。今までの作品も全て、僕の人生の特別な場所にあるけれど、もし1枚だけ棺桶に入れてもらうのなら、「スラップスティックメロディ」かもしれないな。こんな作品をありがとう。

その時期からさらに落ち込みまくって生死の境を彷徨いながら作ったのが「音の門」だと、自分は知っている。宮沢賢治にも比肩しそうな透徹とした詩をつぶやく国府達矢に、泣いたよ。でもその話はまた今度にしましょう。実際に3作品ならべて聴いてもらうのがいちばん良いもんね。
リリースおめでとう。
今度こそ、ほんとうの意味で、おかえりなさい、国府さん。

七尾旅人


天国も地獄も果てまで歩いて、二枚のアルバムにポピュラリティを持たせてしまうとは。ディスイズ国府POP!

いとうせいこう


「日本のロック・ミュージック史におけるミッシング・リンク」……昨年、ようやく日の目を見た(元)幻の名作『ロックブッダ』についてそう書いたが、この『スラップスティックメロディ』『音の門』と続けて聴けばはっきり分かる。国府達矢の才能は、歴史の穴を埋めるどころか全く別の歴史を立ち上げるような、異様なものだと。

磯部涼


【リリース情報】

国府達矢『スラップスティックメロディ』国府達矢『スラップスティックメロディ』

2019.09.25 Release
PECF-1172 felicity cap-314 / ¥2,600+税

[収録曲]
01. 青の世界
02. キミはキミのこと
03. 廻ル
04. not matter mood
05. 彼のいいわけも
06. fallen
07. 窓の雨
08. 青ノ頃
09. シン世界


国府達矢『音の門』国府達矢『音の門』

2019.09.25 Release
PECF-1173 felicity cap-315 / ¥2,600+税

[収録曲]
01. 日捨て
02. きみさえいれば
03. 悪い奇跡
04. KILLERS
05. 重い穴
06. 逃げて
07. こころよりじゆう
08. ライク ア ヴァーチャル
09. Poison free
10. 思獄
11. うぬボケ
12. おつきさま

15年に及ぶ沈潜。果てしなく続いた苦闘の末、ついに完成に至ったオリジナル・アルバム「ロックブッダ」。2018年にリリースされたこの復活作は、彼の音楽にまったく触れたことのなかった若い世代も含め、多くの人々を『虜』にさせた。その評価は孤高のアーティストの重要作という枠をはるかに超え、音楽誌の年間ベストや、世界のインディーミュージックを網羅する海外メディア“beehype”でも日本部門のベストアルバム1位に選出。「これこそ世界に聴かせたい日本のオルタナティブ・ミュージック」と賞賛を持って迎えられ、この年を代表する音楽作品となった。

たかだか数十年では、答えなんて出ない。まるで次世代のために終わりない研究を続けるサイエンティストのような、高いハードルと向き合いながらの音楽的追及の日々。あまりに過酷な年月。
だが「ロックブッダ」のリリースと、音楽リスナーからの熱いリアクションによって、国府は確かな足取りで、再び歩き始めた。
そして今回、「ロックブッダ」の創作と前後してレコーディングされた、全く異なる2枚の傑作アルバムが同時リリースの運びとなった。前作から連なるこの3作品をまとめて聴いたとき、オリジナルな音楽を求め、どうしても道なき道を歩まざるを得なかった、この表現者の本質が浮き彫りになるだろう。

過剰なイマジネーションが圧倒的なサウンドテクスチャとなり、新種のロックミュージックとしてかつてない驚きを与えた前作の魅力は踏襲しながらも、鎧をひとつ脱ぎ捨てた感のあるニューアルバム「スラップスティックメロディ」からは、生身のままの国府達矢が浮かび上がる。独創的なアレンジメントの中心にすばらしいメロディを備えた楽曲たちを聴いていると、ハードリスナーとして長い年月、音楽を求め、愛し続けてきたことへの喜びを感じずにはいられない。ポップミュージック史上の、愛すべき、偉大なシンガーソングライターたちの諸作のように、さまざまな聴き手のかたわらに立ち、いつまでも共に生き続ける作品だ。

そして国府が初めて曲先ではなく、歌詞から作り上げた(というよりも、不可避的に生まれでてしまった)もう一つのアルバムが「音の門」だ。ここに存在しているのは、まったく飾り気のない、剥き出しの言葉たち。どんな素晴らしい歌にも、大抵は、ほんの少しの嘘がある。その嘘によって人間は救われもする。それなのにここには、音の門には、ひとかけらの虚飾も見当たらないのだ。超高精度のカメラレンズで魂の奥底を覗き込むような特別な時間。絶望の只中にある誰かにただ寄り添い、温度をわかち合おうとする、歌のドキュメンタリーとも言える。緊迫感を伴う、集中力に満ちた弾き語り録音を中心とし、表情豊かなギターの音色とメロディが、素顔の言葉たちに人格を与えている。

意図して作ったというよりも、運命に作らされた2枚のアルバム。たくさんの人々が、音楽の世界で野心を抱えて、足早に走り去っていく。国府達矢はそんな道のりの中で、途中下車し、大きくレールを外れてでも、作らなければならない何かを抱えていた。
2018年の大傑作「ロックブッダ」から始まった国府達矢の復活劇は、まだまだたくさんの感動を、この国のミュージックシーンに生み出していく。

「スラップスティックメロディ」のジャケットは画家、高木真希人による書き下ろし。「音の門」は漫画家、山本英夫の作品、”ホムンクルス”から抽出した絵をアートディレクターの小田雄太(COMPOUND)がコラージュし、作り上げた。気鋭イラストレイター雪下まゆによる「ロックブッダ」含め、アートワーク全般のユニークさも、国府ワールドの多面性の一端を担っている。そして「ロックブッダ」をskillkillsメンバーらと再現する“ロックブッダフォーム”、「スラップスティックメロディ」の楽曲を中心に演奏する”国府達矢バンド”、“ソロ弾き語り”と、作品ごとに編成が大きく変わるライブもぜひ体験してほしい。